「え……なに?」



「あなたには……聞こえますか……」



「なにこれ……気持ちわる……」



「ため……して……あげる…………」


「え?」



電話の向こうの声はそう告げると、音が

鳴り響いた。



【ジィィィィィィィィイイイイイ。ジィィィィィィィィイイイイイ】



「なに、この音……やだ……気分わるい。

な……に……これ…………」



そう言うとゆりは、静かに眠ったように

動かなくなった。


そう……まるで人形のように。

まるで魂を置き忘れた人形のように。





「やっぱり……こいつもか……

しょせん……そんな……もん……

こんなやつばかり……」





そう言うと電話は何事もなかったように

切れていた。