(もしも、そんな状況になれば、

日本は僅か10%程の者と子供だけになっ

てしまう。

その【死の音】が聞こえない者と、子供

だけの世界。

考えただけで、恐ろしい国になってしま

う。

国が国として成り立たない。

しかし、仮にその過程を犯人が考え、

実行に移そうとしても、俺には……


一職員がどうすることも、出来ないでは

ないか……)




絶望だけが、雪の思考を包んでいた。



(せめて、せめて、

花梨だけは救いたい。

愛する者を。

何よりも大切で、自分よりも大切な

花梨だけは)


雪はその事を、花梨の安否を考えていた。