3月4日17:53



―洒落た店が建ち並ぶ通りのカフェ内―



「いいなぁ! 私もそれ欲しかったんだ

よね。高かったでしょー!」



高原 みさと(18歳、高校生)は、

親友の佐山 ゆり(18歳、高校生)と二人

で、いつもよく来るこの店で食事をして

いた。



「いいでしょ!  頑張ってバイトして買

ったんだ、このスマホ!」



「画面綺麗し、音質もいいし、うらやま

しぃー! ほしいなぁ…… それ!」



「いひひ! お先に買っちゃったー!」



「あ。そう言えばさ、ゆりは最近噂にな

ってるあのサイト見たことある?

見てみなよ! 面白いらしいよー」



「ないないー。興味はあるんだけど」



「みさとは、見たのー?」



「見てなーい! ゆり先に見てよ!

怖いからー! ねっ! お願いー」



「もう! みさとはぁ……じゃあ、また時

間ある時見てみよっかな」



「そったね。あー! そうだ! あのや

っさしいー拓也君とは、最近どうなの?

うまくやってるの?」



「んー。バイト先で気になる人が出来ち

ゃって……最近連絡してないー」



「えー! あんなに思われてたのにぃ……

彼氏さんそれ聞いたら泣くよー……

私も気に入ってたんだからぁ」



「あはは。

まぁ、出会いなんてたくさんあるし、

仕方ない仕方ない!」



「うっわ。悪魔だぁ……私ならあんなに思

ってくれたら、離れたくないけどなぁ」



「あっ。もうこんな時間。帰らなきゃ!」



「あー! 話そらしたぁ!」



「えへへ、今日ラッキーな事に親いない

から、妹に御飯作んなきゃいけないの。


あ…………ごめんね……

みさと親亡くなってたよね……

ごめん。無神経で……」



「大丈夫だよ! もう随分前の話だし。

じゃあ……またね! ゆり……」



ゆりの立ち去る姿を、みさとは見届けな

がら、うつむき笑う姿がそこにはあった

のである。



「ウフフフフフ……ウフフ……」



その声は、カフェ内に静かにこだまして

いたのだ。