11月9日10:40


管内の要請は、消防だけに限らず、警察

や自衛隊の活躍もあり、ようやく静かに

なってきていたのである。



雪は一度、帰宅しすぐにまた署に戻ら

なければならなかった。


本当は署内にいた方がいいのだろう。



しかし、雪は何よりも大事な花梨が心配

でならなかったのだ。

顔を見て、すぐにまた戻る予定をしてい

た。




「花梨……」



「雪さん! いったいどうしたの?

テレビも約束したように見なかったよ」



「それでいい……よかった……

花梨が無事ならそれでいい……

前に話したように音が……

死の音がテレビを通じて全国に広まった

んや……

犯人が流したんやよ……きっと……」



「雪さん……雪さんは無事だと分かって

いたよ……

雪さんは約束必ず守るから……

うちの前からいなくならないって……」



「俺は花梨の前からは消えないよ。

何があっても。

本当によかった……花梨が無事なら

それでいい……

すぐにまた署に戻らなあかんけど、今

日もテレビやラジオは付けず、ここでい

てくれな。心配やから……」



「わかった……

無理はしないでね……雪さん……

愛してるよ。雪さん」



「俺も愛してるよ、花梨」





そう言うと雪はまた署内に戻っていった