「なぁ、花梨、今起きてる事件やけど、

俺なりに考えてさ、音が関係してると思

う……」



「音が?」



「あぁ。きっと、間違いないと思うわ。

俺現場でも色々話を聞けることがあるか

ら。その直線上には音がやっぱりあるん

よ……」



「そっかぁ……」



「だから、花梨! 気をつけてとはなかな

か難しい注意やけど、ほんまに気をつけ

てほしい……大勢集まる場所には行かな

いようにも……

俺、花梨いなくなったら、生きていく自

信はないから」



「うちもだよ……雪さんがいるから、うち

はここにいたいと思うんだし……

ほんと、雪さんに会えてよかった……

こんな純粋な人、なかなかいないもん……

雪さんなら本当に大丈夫……」



「俺も花梨に会えてよかった。

愛してるよ、花梨」



「うちもだよ……雪さん」




温かい時間を過ごし、雪は明日もまた頑

張れる力を花梨から、もらっていた。






それから月日は流れ去り、街は大きく変

わろうとしていた。

当たり前に不自由なく暮らしていた世界

が、世紀末さながらの時代に移り変わろ

うとしていたのである。