6月4日16:34


事件が発生しはじめてから、死者は何人

になったのか数えるのも恐ろしく、雪は

塞ぎ込んでいた。



人を救うため、その為に消防という世界

に足を踏み込んだはずだった。



しかしいまは、遺体を前に頑張っても報

われない自分自身の無力さを実感してい

た。



このままだと、悲劇は減るばかりか、日

本の人口が減り続けてしまう。



たのしく話すカップル。
愛し合うカップル。
優しい家庭。
無邪気な子ども達の笑い声。


それらが無くなってしまう。

恐怖と絶望、不安だらけの未来に雪は、

苦しみもがいていた。


「子ども達の……

あ……

子ども……

どういうことだ……?」



今まで、被害のあった現場には、子ども

達の遺体を見ていない事に、雪は気付い

たのだ。