「ありがとうございました」
「いえ。お目当てのものが見つかって、良かったです」

女の人は、心にも思っていないだろう社交辞令を述べる。
なんでこの人は、木を隠したがっていたのだろうか。

それは探偵でも読み取ることができなかった。




「…僕たちなにをやりにきたのでしょう」
「次は四角い建物」
「四角い建物?」

地図が示すものは、長方形の前に黒のボールペンで無造作にビックリマークが描かれている。
かなり荒く書いたのか、若干紙に穴が開いていた。

「ここは…」
「ボクシングジムですね。10年くらい前に設立しました」
「僕はまだ小学生か…」
「なら、私が案内します」

桜の木を見つけてから、太陽さんのヤル気が増している。
探偵の助手という役柄がそうとう気に入ったのか?

何にせよ、ヤル気はないよりあった方がいいから、あえて触れないでおこう。



「如月くん、行きますよ」

太陽さんが笑顔で僕の手を引いた。