「答えは、太陽さんの右指の下に隠れているよ」
え、と言いながら、太陽さんが地図を掴んでいた右指を見た。
その指の下には、文字が隠れている。

「朝日奈…ま、こと。ですか?」
「そう、朝日奈 真殊。僕の友達なんだよね」

「でも、同名っていう可能性もありますし…」
「そんな漢字使う人、きっと少ないよ」

まこと、という名前に、真は使うことはあっても、殊を使っていたのはなかなかいない。
名前が普通じゃないように、朝日奈は普通じゃない。

高校に入ってからのアイツしか知らないけど、高校で一番アイツに関わっているのは僕だ。自信がある。
だから僕は、アイツが普通じゃないことを知っている。
何が普通じゃないのかは、まだ分からない。
そういう点では、水嶋の方が知ってるのかもしれない。
けど、水嶋は賢いから、きっと本質には気付いていないだろう。
賢い人は気付けないけど、だからといって阿呆なやつはもっと気付かない。
もっと柔軟に考えないと見えない何か…。


朝日奈はきっとまた、何かに巻き込まれている。