ーsideアレスー

食事の後ミリヤはお披露目の時に着るドレスに着替えるため、退席した。

残った父上と俺で話しをしていた。…昨日のピアノ騒動、ミリヤに対してとても良い意味だったと言うことを伝えたい為だ。…だが、良い案が見つからない。失敗すればミリヤは余計に人間不信に陥る。…かと言って放っとく事は出来ない。ミリヤはまだ完全に『家族』として認識していない。『血が繋がってる人』、『ここにいて良いのか?』そんな事を考えていそうだ。

『ここにいて良い。』『信頼を寄せても大丈夫。』そう教えることが先決かも知れない。

「アレス、ミリヤが城の中で一番信頼しているのは近衛騎士のユウキ、だったな?」父上が言うと俺は

「はい。」短く答えると

「そうか。ならユウキにミリヤの説得を頼むしか無いか。…せめて近衛騎士、副団長のエルはな。」エルか…あいつは口下手+無口で打ち解けるには相当時間が掛かる。

「……ミリヤのピアノの誤解の件ですが、たしか海外のコンクールで名前を伏せて純粋に音楽の腕を競う場があると聞いたことがあります。…予選で録音した物から何名か選出され、その中から本選と言う流れですが、ミリヤを出して見ませんか?」…一か八かの賭け。