「ミリヤ様。失礼ですが、私にはピアノを弾いている時がこの国に来てから一番感情豊かに見えました。…ミリヤ様にとってピアノは自分を表現出来る所では?」そう言うとミリヤ様はビクッとした。…どうやら図星らしい。
「もし、さっき言っていた『誤解』が真実ならどうして他の人は来ないの?わたしの事がどうでも良いから来ないんじゃないの?」ミリヤ様が言った。…来ない理由…それは分からない。けどこれだけは言える。
「それは、私にも分かりません。ですが2つだけハッキリ言える事があります。1つは団長はミリヤ様が見つかった時、国王陛下、お妃さまより誰よりも喜ばれていました。…そんな人がどうでも良いなんて思いますか?2つ目は団長が騎士になった理由、それはミリヤ様が誘拐された後、守れる力が有ればと城に剣術の師範を招いて、剣術を始めたのがきっかけです。…『帰ってきた時、ミリヤを絶対守る。』そう仰ってました。」そう言うとミリヤ様は泣き出した。…どうやら誤解は溶けたみたいだな。誤解が溶けたのは団長と俺だけ、そんな気もするが。
ミリヤ様が落ち着いてから
「お部屋に戻りましょう。」と言うとミリヤ様は
「逃げてしまったから…皆に会わせる顔が無いの…」と言った。…やっぱりか…


