ーsideユウキー
「人前でピアノ、弾かない方が良かったんですね…お兄さまが何と言おうと。」涙を流しながらポツリと姫様が言う。
「一人で、弾いていた方が良かったのですね。ピアノ…辞めた方が良いのかも知れません。ピアノ、弾くことに皆さん迷惑でしょうし。」目の光が失われていく。足元に視線を落とし涙を溢す。
「……ただの人形ならこんな悲しみ、知らずに良かったのに。ここに来なければ良かった。『国王さまやお妃さまが何と言おうと。』」…!!太ももに置かれている男である俺にしてみれば小さい手。その両手にぎゅっと力が入る。
お父さま、お母さま、そう呼んでいたのに…。
「姫様、失礼ですが、誤解をなされています。私共が動かなかった理由は姫様が弾くピアノの音色に感動していたからです。私も姫様のピアノの音色に感動した一人です。」そう言うけど、
「気休めは止して下さい。…それにわたしは『姫』なんかじゃない!!」耳を傾けようとしない。…むしろ逆効果になってる。姫様にとって自分=ピアノの構図だから、自分を否定されてるのと同じ…なんだろうな。
「それにどうして十年以上たった今なの!?…わたしは、」そう言った姫様に俺は


