それから五分ぐらい経ったとき、晴翔くんは「こんなところで抱き合っているのも変だから」と言い、私の手を引いて近くのカフェに入った。



晴翔くんと向かい合って座ると、今更だけど恥ずかしさが込み上げてきた。


迷子になっただけで泣くって…そんなの子供だよね。


「どーした優愛」


私の変な様子に気づいたのかそう言ってきた晴翔くん。



私は思いの丈を伝えることにした。



「自分が子供過ぎて嫌になっちゃう。…私、みんなが知っていること何も知らないから…」


晴翔くんは、少し停止してから微笑んだ。


「…子供でいいんだよ。高三なんて本来ならまだ親に頼っている時期なんだから」



晴翔くんの暖かい手が私の髪を撫でる。



「だから優愛は、俺を頼れ。どんなことでもいいから。俺は絶対優愛を守るから」



優しい優しい言葉に、私の地獄のようだった生活が報われたような気がした。



「晴翔くん……ありがとう、ありがとう」


わたしは何度もそう言った