車はさっきから一時間くらい走り続けている。だんだん都心に近づいてきて、辺りは高層ビルや人ごみで一杯だ。

「ねぇ、あたし達どこ向かってるの?」

「ん〜?…まだナイショ♪」

―――さっきからお母さんはこの一点張り。いい加減教えてくれてもいいのに…。

私はつんっと唇を尖らせた。




「あ、見えてきたわね!まずはあそこに行くから♪」

「あれって…!!」

車の窓から見えるのは最近できた大型ショッピングモール。
まさか、あそこに行けるなんて…!!
一応あたし、女の子だからショッピングは大好き。
もちろん反応は…


「やったあぁ〜!!!!」

「よかったですね、お嬢様。それに実は俺も行きたかったし、嬉しいです。」

「そうなの!?…買い物とか、芳井がしてるなんて想像できないわね。」

「……俺、一応普通の人間ですよ?」

隣の芳井も嬉しそう。あ〜、本当にお母様様だわ!!

「喜んでくれて嬉しい♪じゃあ行きましょ。運転手さん、車をよろしく。」

「かしこまりました。行ってらっしゃいませ。」

こうしてあたし達は未知なる宝の山(=ショッピングモール)へ入っていった。

私とお母さん、芳井の他に加納さんと私の知らない男の人(多分SPの人)が一緒に行動することになった。

「うっわ〜!広いなぁ」

「さすが関東最大級ショッピングモール…。すごいですね。」


「よ〜しっ、じゃあまずは家具を見ましょ♪」

「え!?服は!?」

「それはまた後で!さ、行くわよ〜」

な、何故に家具を!?!?もう十分あるのに…。

そんな事を思いながらも、すごく生き生きした目をしているお母さんを見て、とてもじゃないけど反抗する事は出来なかった。