「………Σはぁあ!?!?ななっ、何言って…」

「あはは、こうも上手くいくなんて♪大成功ね!」

お母さんはSPの人と楽しそうに手をとって喜んでいた。な、なななな…何ーー!?

「困ったら、まず机の上にある手紙を読みなさい。わかった?

じゃ、そういう事で…バイバイ!」

お母さんはそう言い残して家から出ていき、車に乗って暗闇の中に消えていった──。

あたしたち2人はただただ呆然として、その場に立ちすくんでいた。イキナリの事に、頭がついていけない。



“あなたたちの『新しい家』よ♪”


「新しい家…?じゃあ、学校は!?生活費は!?どうすれば良いの!?!?大体、何でこんな事勝手に…。理由は?──あぁもう!わかんないことまみれだよ!!」

あたしが一人騒いでいる中、はっとして芳井を横目で見ると…

「……………。」

見事に、銅像状態。

いつも仕事を正確に、しかも素早くこなしている芳井が…今、こんな状態でいる。

信じられない…。


「ちょ、芳井!?しっかりしなさいよ!あんたがそんなんじゃ元も子も無いじゃない!!」

「………。」

目が泳いでいる上、口は開いたまま。こりゃ、ダメだな…。

「あ!手紙…」

“まずは机の上にある手紙を読みなさい”

お母さんの言葉を思い出した。

「よ、芳井。とりあえず家の中に入ろ?手紙を読まなきゃ。」

「………あ、ハイ…。」

芳井を引っ張って家の中に入る。リビングは、机以外何も無くて閑散としていた。机を見ると、手紙が一つ置いてあった。

手にとり、開いてみる。白い紙にはびっしりと文字がうめられていた。