「ははっ、見ていればわかるよ。ま、ただの勘なんだけどね。」

「…そんなわけ、無いです。あたしってワガママだしぐうたらだし…、良いところなんて一つもないんですから。」

「君は気づいてないんだね、自分の魅力に…。妃芽ちゃんは僕から見ても可愛いよ。」

「お、お世辞はいいですよ!」

「本当に…いい子だね。いずれ君たちはきっと……」

「…………きっと?」

「いや、あえて言わないでおくよ。またこのお店を訪ねてくれた時に話すね。」


「はい。楽しみにしてますね♪」


「お嬢様、そろそろ行きましょうか。…すみません、あの望遠鏡ください。」

「はい。それじゃああちらへ…」



私はおじさんと『またお店に来る』約束をして、このお店をあとにした。素敵なお店を見つけられて、あたしはとても温かい気持ちになれた――。



「お母さ〜ん!終わったよぉ。ホントに疲れたんだから!!」

「奥さま、カードです。…あと、俺も望遠鏡を買わせてもらいました。本当にありがとうございます。」

「あら、お疲れ様♪2人とも家具ちゃんと買えたわね?」

「うん、でもくたくただよ…。そうだ!ちょっと休もう。あたしコーヒー飲みたい!!」

「そうねぇ…ってもうこんな時間じゃない!!!!」

お母さんは時計を見ながら焦っていた。

「?…コーヒ…」

「だめだめ、そんなの買ってる暇無いわ!!行くわよ!!真理亜ちゃん、配達手続きを済ませておいてちょうだい。」

「わかりました。今日中には届けられるよう手配します。」

「ちょ、ちょっと待ってよ!!何で帰るの?そんなのやだっ!!まだ来たばっかじゃん!!」

「お、お嬢様!周りから見られてますよ。落ち着いて…」

「うっさーい!!やだったらやなの!!」

「いいから来なさい!!」

あたしはお母さんにずるずる引きずられて再び車に乗せられた。

「運転手さん、目的地まで急いでちょうだい。」

あたしはかな〜りご機嫌斜め。お母さん、やっぱり今日おかしい!!絶対何か企んでる…。