その途端、春香がいなくなって初めてオレの目から涙がこぼれ落ちた。 『…泣いたらもっと悲しくなるから、泣かないことにしたの』 あの夏の暑い屋上で、お前は切なそうに言っていた。 「春香……やっぱ悲しかったら、涙は出るんだよ…」 もう雨なのか涙なのかわからない水滴が、オレの頬を何度もつたっていく。 『春香が好きだ』 この気持ちは誰に伝えたらいい? どこに捨てればいい? もうオレにはわかんねぇよ…。