圭side







誠と別れ、俺はひとり家路を歩いていた。



…これでよかったんだよな。



俺はちゃんと笑えてたかな。


親友として、あいつの幸せを願えたかな。



……うん、大丈夫。




「結構本気だったんだけどなぁ…」




ぽそっと呟いてみたが、俺の声はセミの鳴き声にかき消された。


俺のこの気持ちも、セミの鳴き声でかき消されればいいのに。





「……やっぱりお人好しなんですよ。圭先輩」





不意に背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。


バッと振り返ると、そこには予想通りつぼみちゃんがいた。