「誤魔化すの柄にあわないし、単刀直入に言うわ」 「あぁ」 その瞬間、さっきまでうるさかったセミがピタッと鳴きやんだ。 「俺、春香ちゃんのこと好きなんだよね」 呼吸が止まるかと思うぐらいの衝撃だった。 嫌な汗がにじみ出てくるのを感じた。 暑いからとかじゃなくて、簡単に言うなら“嫌な汗”。 「………っ」 言葉が出なかった。 理由なんかわかんなくて、頭にあるのはモヤモヤした不安な気持ち。