「てか、感動する映画見て泣かないっていうのもアレじゃね?なんで泣かねぇの?」 ちょっと不機嫌気味に尋ねると、春香は前より少し伸びた髪を耳にかけた。 「…泣いたらもっと悲しくなるから、泣かないことにしたの」 「ふーん…」 そう切なげに言う春香の横顔に、胸が大きく鼓動した。 春、出会った頃より少し大人になってる気がする。 …って、まだ三ヶ月ぐらいしか経ってねぇのに。 今は七月。 明日から夏休みだ。