誠は優しく笑い、春香ちゃんは無邪気に笑って。
…誠が笑うとこなんて、俺でもあんま見ないのに。
春香ちゃんの前では笑うんだな。
その時に俺の胸に溜まったのは、“嫉妬”という汚い感情。
『なんで二人で会ってるの?』
『なんでそこに俺はいない』
『誠が邪魔』
いろんな言葉が頭にたくさん浮かんでいくのを感じてた。
…あぁ。俺はいつからこんなに醜くなったのかな。
すると後ろから気配を感じた。
振り返ると、そこには春香ちゃんのクラスメイトのつぼみちゃんが。
「…屋上、入らないんですか?」
そう問いかけてくる。
多分この子も知ってるんだろうな。
屋上に誠と春香がいることに。
それを知ってて今、俺にそんな質問をするなんて…なに考えてるんだ。
少しイラつくが、女子には優しくが俺のモットー。
なるべく表に出さないよう心がけた。

