「笑った顔初めて見た!」
「…オレだって笑うときは笑うし」
照れくさくなりフイッと春香と逆の方を向いた。
『私はまこちゃんが“必要”だよ』
『“愛”がわかんないなら私が教えてあげる』
その言葉がずっと頭に鳴り響いてる。
…誰にも必要とされないで、愛されないで生きていくことが寂しかった。
どうせならもっと、家族にも愛されたかった。
でも口に出すのが怖くて、ずっと閉じこもってて。
その心の扉を開けてくれたのは、入学式の屋上たまたま出会った春香。
偶然なのか運命なのか誰にもわからないけど、それはオレにとって大きな一歩。
この日から確実に、オレの中で春香の存在が大きくなり始めていることに……鈍感なオレは気づかなかった。