黙り込んでいると、春香が口を開いた。
「“居場所がない”なんて言わないでよ。まこちゃんの居場所、ちゃんとあるよ」
「……春香?」
隣を見ると、真剣な表情をした春香がいた。
「私はまこちゃんが“必要”だよ。私だけじゃない。圭先輩だっているし、つぼみだっている。まこちゃんはちゃんと“愛されてる”よ」
「……」
「“愛”がわかんないなら私が教えてあげるし、放課後は一緒にいてるし……だから、もうそんなこと言わないでよ…」
最後は切なげに言いながら、オレの両手をぎゅっと包み込んできた小さな手。
それは今まで感じたことのない、温もり。
「…まこちゃん?」
気づくとオレは、目からポロポロと温かいものがこぼれ落ちていた。

