「愛されてないんだ。オレ」 「…え?」 不思議そうに首を傾げる春香をチラッと見てから、また目線を逸らした。 「居場所がない…っていうの?“必要とされてない”んだ。家族からも、学校からも」 「……」 「“愛”も知らないし、人を“愛する”ことも知らねぇ。家に居づらいから帰りたくない。教室に居づらいから屋上に逃げる…それだけだ」 そう淡々と言ってみせた。 …なに話してんだ、オレ。 こんなの話してどうにかなるわけじゃないのに。 無駄に空気が重くなるだけじゃねぇか。