「いってきます」 そう言い家を出た。 オレの声に誰も返事することはない。 もう慣れたことだ。 悲しいとも寂しいとも思わなくなった。 大きな欠伸をしもくもくと歩いていく。 …今日、あいつに会えるかな。 あいつというのは昨日会ったばかりの春香のこと。 オレにあんなに図々しく喋りかけてくる奴は、実はもう一人いる。