突然のことに固まっていると、母さんがオレに駆け寄りカッターをはじき飛ばした。
「なっ……」
頬に痛みを感じた。
オレは、母さんにビンタされていた。
じわじわくる痛みに頬を抑え、母さんを見上げる。
「なにやってるの誠!!」
母さんは、泣いていた。
その涙の意味がわからずただ混乱していると、オレはふわっと母さんに抱きしめられていた。
「か、母さん…?」
初めて感じる温もりに戸惑っていると、母さんが微かに震えているのがわかった。
「もう…二度とあんなこと言わないで…っ」
「…え?」
「もう二度と、“自分が死ねばいい”なんて言わないで!!」
予想外の言葉に心愛を見ると、心愛も泣いていた。
父さんを見ると、父さんも涙を浮かべていた。
なにがどうなっているのかわからなかった。
みんなみんな、オレなんか愛してくれなくて……心愛ばっかり愛されて。
なのに…この状況は?
すると心愛がゆっくり口を開いた。

