すると児玉さんは静かに語り始めた。
「私、あの夏祭りの日たまたまあそこの道路を歩いてたの。そしたら浴衣を着た春香さんがいきなり『まこちゃん…っ』って叫んで、道路に……」
「……」
「警察は自殺って言ってたみたいですけど、私はそう思いません……これだけ“まこちゃん”……池田君に言いたくて…」
春香はオレの名前を叫んで、道路に飛び出したらしい。
なんで…?
オレはその頃神社でお前を待ってたんだぞ?
「……貴重な話、ありがとうございます。オレ、もう帰ります…」
「えっ!?池田君!!」
オレは勢い良く立ち上がり、店を飛び出していった。
走らずにはいられなかった。
いろんなことが頭の中を駆け巡ってる。
もう……なにも考えたくねぇよ……。
「春香……オレ、いなくなりてぇ…」