情けなくなって、オレは屋上を飛び出した。
階段を駆け下り、無我夢中に走って、学校を抜け出して、もう疲れてるはずのに走り続けた。
苦しい。
辛い。
胸が痛い。
ようやく立ち止まったその場所は、春香が自殺したと聞いた道路だった。
近くの電柱には、たくさんの花束とお菓子やジュースが置かれていた。
きっと春香宛の…。
車が多いこの道路。
信号も目立つ位置についており、横断歩道を渡る際は必ず視界に入る。
「なんで自殺なんか…」
そう花束に問いかけたって、誰も答えてはくれないのに。
「あの…」
声の方を見ると、そこには若い女の人がいた。
手には花束。
おそらく春香の身内かなにかだろう。
「なにか…?」
「突然すみません。あなた…“まこちゃん”ですか?」

