好きって言えるまで

『ヤッター!わたし3組!あきらくんと同じクラスだ〜』
『あの人、人気者なんだな…』
そりゃあそうか。あんなに笑顔の爽やかなイケメンが人気じゃないはずがない。
『私、何組なんだろ…』
そっとクラス発表の紙をのぞいた。
3組 桜井葵…
3組 青木あきら
『え…同じクラス…』
とぼとぼ歩きながら、3組に入った私は1番後ろの窓際の席だった。
『よかった。
とりあえず目立たない席だ…』
音楽を聴くことの好きなわたしは、そっとイヤホンを耳にしてなんの音もきこえないくらい音量を大きくした。
『わたしは、これが1番落ちつく』
そうつぶやいて目を閉じ自分だけの世界に包みこまれた。
『おい!葵ちゃん!』
だれかに肩をさわられてる。そっと目をあけたわたしの前に座っていたのは、彼だった。
『同じクラスなんだね!』
『俺この席だから仲良くしようね』
嫌なのか嫌じゃないのか分からないけど、とりあえず『よろしくね』とつぶやいた。