㈱恋人屋 ONCE!

「最後の競技は、リレーでした。私と雨明が、違うチームのアンカー同士として出場したんです。バトンが渡され、私達が走ろうとしたその時、後ろに蹴った私の足に雨明がつまずき、転倒したんです。」
「…。」
何と子供じみた話だ…。
「チームの命運がかかった競技だったということもあり、私達はケンカになりました。そしてそのケンカに夢中になっていた私達は、大祓に間に合わなかったのです。そして、私達は二人とも『陰陽師』と名乗ることを許されなくなりました…。」
「じゃあ、今『陰陽師』って言ってるのは…?」
晴明さんは一息ついてから言った。
「無許可で、名乗っています。」
「えっ…。」
「驚くのも無理はありません。ですが私には…こうする以外に方法が思い浮かばなかったのです。他人のせい、と言えば人聞きが悪いですが、そのせいで陰陽師を辞めたくはなかったのです…。」
「…雨明さんはどう思うんですか?」
「私も同じく、です。せめてどちらが悪いのかはっきりすれば、解決できると思うんですけどね…。」