㈱恋人屋 ONCE!

「俺はただ、恒例の寺社参拝だが?」
「奇遇だな。俺もだ。」
「あの…。」
私は二人の間に割って入った。
「せっかく久しぶりに会ったんですし、もうちょっと、こう…何て言うか、感動的なものはないんですか?」
「ないですね。」
「ないですね。」
同じ返事が同じタイミングで返ってくる…。
「…ケンカとか、しちゃったんですか…?」
答えが返ってくる可能性は低いと分かっていながらも、一縷の望みに懸けて言ってみた。
そして、答えは返ってきたのだった。
「…大祓の時期になると、実家へ帰る決まりになっているんです。十年前のその日も、私達は帰ろうとしていました。ですがその日は、体育祭でした。」
「体育祭…。」