「あ、す、すいません…。」
私は彼らがヤンキーだということを知らないフリをしてやり過ごそうと思ったが、そんな演技はいとも簡単に見抜かれてしまった。
「おい、ちょっと待てや。」
低めの声にビクッと身を震わせる。恐る恐る後ろを振り向くと…。
「恋人屋ってのは、どこにあるんや?」
「へ…?」
「いいから早く答えろや!」
我修院の隣にいた組員が、足元のごみ箱を蹴飛ばす。
「落ち着け、赤井。…案内してもらおうか?」
「は、はい…。」
私は断れるわけもなく、この紫龍組の皆様を恋人屋へ案内することになった。
波乱の一日が、幕を開けた…。