「…?」
「これは、紗姫だけの問題じゃない。」
「どういうこと…?」
「俺もその話を聞いたから、俺が無関係ってわけじゃない。」
「…。」
当たり前のことを言うかのように話す菜月くん。そんな彼を横に、私はどこか、自責の念に駆られていた。
私のせいで、菜月くんを巻き込んだ。私のせいで、菜月くんに重荷を背負わせてしまった。昨日と同じような薄暗い気持ちが、私の心をゆっくりと、だが確実に蝕んでいく。夕日はもう沈み、辺りは闇に包まれようとしていた。
「そうやって、一人で背負い続けるつもりか?」
「えっ…?」
「何となく分かるんだよ。俺には。紗姫の考えてることがな。」
「…。」
「自分を責めてるんだろ?勝手に巻き込んだって。」
「…うん。」
「やっぱりな。」
菜月くんは空を見上げた。まだ星も月も出ていなかった。