㈱恋人屋 ONCE!

流矢さんは、私の作戦を実行してくれていたのだ。
「流矢さん。」
「?」
「私が恋人師だって、言ったらどうですか?予習のために来たんだって。」
「だからって、キスまでは普通しないでしょ…。」
「そんなの簡単です。ドラマの中に、キスシーンがあるって言っちゃえばいいんです。」
「なるほど…。」
「それで解決するとは限りませんけど、少なくともその場をしのぐことくらいはできると思いますよ?」
「確かに…。」
「これで…どうですか?」
私の作戦でできたのは、先延ばしにすることだけだった。それでも、流矢さんの役に立てたんだ。
私は、素直に嬉しかった。やっと、流矢さんの役に立てた。