㈱恋人屋 ONCE!

「あ、いたいた。」
階段を駆け降りると、すぐに諸星さんを発見できた。
「えっと…諸星さん、ですよね…?」
「うん。君が黒原紗姫さん?よろしく。」
爽やかなアイドルスマイルとともに差し出される手。私がそれを握り返すと、今こうして諸星さんといられることが、たまらなく幸せに思えてきて…。
「あ、あの、今日は本当にありがとうございましゅ…ございます!えっと、その…今日一日、よろしくお願いしますっ!」
思い切り噛んでしまった。
「ぷっ…ははっ、可愛いんだね、紗姫さんって。」
「え、あ、そんなことないですよ、えっと…。」
「『流矢さん』って呼んでいいよ。」
「流矢さん、今日は本当に、よろしくお願いします!」
「うん。よろしく。」
また振りまかれるアイドルスマイル。…ヤバい。もう、素敵過ぎてとろけてしまいそう…。