「行ってきま~す。」
返事など返ってこない自宅に向かって言う。
「あれ?紗姫?」
後ろから、どこかで聞いたことがある声がした。
「?」
振り返ると、そこには菜月くんがいた。
「どうしたの、こんな所で?」
「どうしたって…普通に出勤しようとしてるだけだけど?」
「私も。」
私と菜月くんは、一緒に出勤することになった。
「家、この辺なの?」
「ああ。紗姫は?」
「私も…。」
「…俺達って、似た者同士なのかもな。」
「…かもね。」
私は普通に会話はできていたが、内心緊張していた。
こういう時って、何を話せばいいの?男子と何を話すの?
「ん?どうした、紗姫?」
そんな心境が、顔に出ていたらしい。
「あ、別に何でも…。」