そして、仕事が終わった。
会社を後にして帰ろうとした時、菜月くんが私を引き止めた。
「どうしたの?」
もう何となく、察しはついていたが。
「明日、やるぞ。」
「へ、明日…?」
「ん?どうした?」
「いや、それちょっと急じゃない…?」
「よく言うだろ?『善は急げ』って。」
「ふふ…上手いこと言っちゃって。」
こつん、と頭を指で小突いてみた。
「お、やったな~?」
再び、こつん。でも今度は、私の頭に、だ。
…こんな幸せな時間のすぐ後に、壮絶な復讐劇が待っているなんて…。
一番自覚していなきゃいけないはずの私が、まだ実感が沸いていなかった。