㈱恋人屋 ONCE!

強盗が窓口のカウンターに座り、足を小刻みに動かす。殺すのが楽しみで楽しみで待ちきれない、そんな仕草だ。
「黒原さん、でしたっけ…?」
さっき強盗に質問した人質の一人が私に言う。
「もしかして…恋人師さんですか?」
「はい…。」
「やっぱり。警察の人を警察の人だと知っていながらお客さんにできるなんて、恋人師くらいしかできませんからね。」
「そうですかね…。」
「…一番手で、いいんですか…?」
私は少しうつむいた後、答えた。
「…いいんです。死んだら死んだで、私の大切な人に会えますから…。」
「おい、さっきから何ごちゃごちゃ話してんだ?…よし、黒原の次は、お前を殺す。」