㈱恋人屋 ONCE!

「えっと…とりあえずこれだけでいいかな…。」
お金を引き出して足早に真守さんの所へ戻ろうとする私は、目を疑うような光景を見てしまった。
「おい、シャッター閉めろ。」
「で、金も用意しろ。」
「え…?」
「いいから閉めろってんだよ!」
一発の銃声。それとほぼ同時に、蛍光灯が一つ割れた。中にいた人達の悲鳴が上がる。
何と、この銀行に…強盗が来てしまった。しかも、三人も。
「ヤバっ…!」
姿を見られないようにこっそり逃げ出そうとしたが、もうシャッターは閉まっていた。
「今ここにいる奴全員に告ぐ。お前ら全員、服以外のすべての荷物を置いて手を後ろで組め。さもなければ…殺す。」
再び銃声と悲鳴。私は得体の知れない恐怖を感じ、おとなしく後ろに腕を回した。