僕の足は、暫くそこから動けなかった だが 「あの…」 小さな子供の声で、僕は意識を取り戻す 「貴方は、私のお父さんですか?」 ―は? 「私、迷子なんです お父さん、探してるんです」 ―お父さんが、わからない? 「私のお父さんは、 椎名 洸(しいな こう) 会ったことはありません 生まれた時から母の一人手で 育ててもらってました。 あぁ、お父さんのことなんですが またの名を、 黒百合って言う人らしいんです」