瞬間、視界が歪んだ



このまま気を失って、楽になろうとした



だけど



『黒百合っ』



愛を囁いてくれたあの声が、



倒れる前に頭の中を駆け巡った





こんなとこで寝てる場合じゃない




―睡蓮を、探すんだ………





と、再びテレビに目を向けた



報道者の後ろに見える病院



その斜め後ろに見えた建物にピンときた



睡蓮の、名付け親の小さな病院だ




僕はケータイと財布を握りしめ



おもむろに家を飛び出した