御曹司が風邪で学校を休んだ日の夕方には、使用人が続々と帰ってきた。
私はそれを玄関先で迎える。
彼らの第一声は、隆雄様はどうでしたか、だった。
対する私の答えは決まっていて。

「今は大事をとってお休みになられています。明日にはいつものようにご健勝なお姿がみられますよ」

それに皆、心配の表情を和らげるのだ。

御曹司よ、ここの使用人はみんなお前が大好きだ。

私にお土産を持ってきてくれた使用人もいて、ありがたく受け取っておいた。
ここに受け入れてもらえたようで嬉しい。

翌日。
仕事に向かう途中、あまり関わりのない3人のメイドに会った。
この時間に人に会うとは珍しいな。
会釈し、脇を通り過ぎようとした。
が。
瞬間、両方から腕をがっちり掴まれ引きずられる。

え、なに?

「祝前麻里奈確保!」

口に猿轡をかまされ、抵抗を許されず。
私は引きずられるままに連れて行かれ、どこかの部屋に押し込まれた。
床で強く体を打つ。

「んんっ……!」

何するの!

倒れた状態で振り向くと、扉を閉め、その前に立つ3人。
退路を絶たれた。

「何でこんなことするの!?」

自由になった手で猿轡を外し、怒鳴る。
するとメイドたちは、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべた。

「ごめんなさいね、あなたに罪はないのよ」

「そうそう、全ては隆雄様の命令だから」

「私たちは従うしかないのよ」

順番に言い訳を口にする。

またボンボンか。
最近は丸くなったと思ったのに、今になってメイドを仕向けてきやがった。
昨日の看病してやった恩を忘れたか。

「そういうわけだから……」

「ちょっとおとなしくしといてね」

「大丈夫、抵抗しなければ何もしないわ」

手をわきわきとさせて距離を詰めてくるメイドたち。
ホラーとまではいかないものの、迫り来る恐怖に悲鳴をあげた。

「ひいぃっ!」

「はいはい、おとなしくする」

頭を床に押さえつけられ。

「いやっ……」

背中のチャックに手をかけられ。

「やめて…」

「はーい、手はこっち」

服を脱がされた。