私が鎮めようとする行動が冬城欄には理解できなかったようで、不満げな顔をして一定距離を保っていた。




「ち、近づかないで…!」




「水菜、こっち向いて。すぐ済むから」




私が失礼なことを言っても気分を害するわけではなく、さっきよりも優しい、猫撫で声で催促をする。




逃げ続けても追いかけて来られるだけだし、少しだし…。




そんな甘い考えが頭を駆け巡り、つい、私は冬城欄の言う通りにしてしまった。




「!……んっ」




何もされないはずがなかったんだ。




熱を帯びた唇が、優しく、それでいて強引に、私に押し当てられ、熱が伝導していくようだった。