「次、あれ乗ろうぜ」
「え、どれ」
「あれだよ、空中ブランコ」
「…………」
どうしようか、絶対さっきの二の舞だ。
よりにも寄ってまた空中だよ。矢沢君って高いところが好きなんだろうか。
「矢沢君一人でどうぞ。空中に行くのはもう良いです」
「何言ってんだ。一人で乗っても楽しくない。行くぞ」
「え。ちょ、やだ。嫌だよー」
「嫌じゃない」
眉間に少し皺を寄せた矢沢君は、またあたしの腕を引っ張って強引に空中ブランコに乗ろうとする。
高所恐怖症と言えば、この腕を離してくれるだろうか。
その後、矢沢君の楽しそうな顔を見て結局、高所恐怖症ですとも言えなくなったあたしは当然の如く、最初に乗った乗りものと同じような恐怖を味わった。
高い位置でグルグルと回り続ける空中ブランコに、あたしはつい失神してしまうかと思った。

