「はあ、楽しかった!ね、矢沢く…」
「死ぬかと思った……」
思った以上にフラフラな矢沢君は、か細い声でそう言いながら近くのベンチにストンと腰掛けた。頭が未だにグルグルと回っているのか、矢沢君はずっと頭を押さえている。
「や、矢沢君ごめん。大丈夫…?」
「…あ?ああ」
「まさか、そこまで気を落とされるとは思ってなかったから…」
「はあ?てめぇの回し方自体、普通じゃねぇんだよ」
「ごめんなさい。何か飲み物買ってこようか?」
「別に良い。それに一つ乗って休憩繰り返してたら時間が無くなる」
「あ、えっと。まあ、そうだけど…」
「ほら、次行くぞ」
完璧に回復していないと思われる矢沢君はいきなりその場に立ち上がって、あたしの前をスタスタと歩き始めた。

