その後、「コーヒーカップに俺は乗らない」とまるでメリーゴーランドの時と同じ事を言う矢沢君の腕を無理やりグイッと引っ張って、あたしはコーヒーカップの乗り場前までやって来た。
「ワクワクするね!矢沢君」
「お前、いっぱい回しそうだし一緒に乗りたくない」
「え。何で分かったの?」
「……、地獄だ」
それからの数分後、失礼な事を言い述べる矢沢君を強制的に乗せると、コーヒーカップがゆっくりゆっくりと回り始めた。あたしのテンションが、一気に急上昇する。
「すごいすごいすごい!凄い回ってる!」
「てめっ、それ以上回すんじゃね……――っ」
グルグルグルと凄い速さで回り続けるコーヒーカップに、あたしは最高にエンジョイな気分。
それとは打って変わって、目の前の矢沢君はコーヒーカップの端にガシっとしがみ付いている。
その数分後、あっという間にコーヒーカップが終わってしまい、あたし的にはもうちょっと回っていたい気分だった。

