これが、あたしの彼氏です。- 2 -



「うん、これからも友達として、また一からよろしくね」

「は、はい…!ありがとうございます」

「うん。御礼なんて良いよ。僕が、そうしたいだけだから」

「…………っ」

「新しく出来た好きな人と、幸せにね。心ちゃん」

「……っ、……はいっ」

つい、涙腺が緩みそうになってしまった。


「じゃあ、あたしはこれで…」

「うん。僕もそろそろ部活に行かないと…」

「…はい。今日はいきなりすみませんでした。部活、頑張って下さい。応援してます」

「うん。頑張るよ。ありがとう」

久瀬先輩とそれだけ言葉を交わし、あたしは「またね」と手を振る先輩に深く頭を下げて、ゆっくりゆっくりと前へ歩き出した。





「――――――結構、本気だったんだけどなあ」


―――そんなあたしの後ろで放たれた、か細い久瀬先輩の声なんて、当然聞こえるわけもなく―――。