「うん、これからも友達として、また一からよろしくね」
「は、はい…!ありがとうございます」
「うん。御礼なんて良いよ。僕が、そうしたいだけだから」
「…………っ」
「新しく出来た好きな人と、幸せにね。心ちゃん」
「……っ、……はいっ」
つい、涙腺が緩みそうになってしまった。
「じゃあ、あたしはこれで…」
「うん。僕もそろそろ部活に行かないと…」
「…はい。今日はいきなりすみませんでした。部活、頑張って下さい。応援してます」
「うん。頑張るよ。ありがとう」
久瀬先輩とそれだけ言葉を交わし、あたしは「またね」と手を振る先輩に深く頭を下げて、ゆっくりゆっくりと前へ歩き出した。
「――――――結構、本気だったんだけどなあ」
―――そんなあたしの後ろで放たれた、か細い久瀬先輩の声なんて、当然聞こえるわけもなく―――。

