「……さっきの、誰?」
「あ、えっと…」
矢沢君が物凄い低い声を出してあたしに詰め寄ってきたかと思うと、あたしは壁にドンと背中をぶつけてしまい、目の前に矢沢君、後ろに壁といった逃げ場のない状況に挟まれる形となってしまった。
「誰って、聞いてんだけど」
低い声とあたしを見下ろして来る矢沢君の顔が凄く怖い。如何にも不機嫌なのがヒシヒシと伝わって来て、あたしは手と額に冷や汗が滲んだ。
「――――――えっと、お、幼馴染み…」
「あ?」
あたしが小声でそう言うと、矢沢君は思いっきり眉間にギュッと皺を寄せた。
――――そう、さっきの彼はあたしの幼馴染みなのだ。数年振りに会って大分雰囲気が変わった彼に一瞬気が付かなかったけれど、あれは間違いなく数年前に遠くへ行ってしまった幼馴染みだ。
「……ふーん、幼馴染みね」
「う、うん」

