「一人に、してくれませんか…」

リュティアがやっとのことで口にしたこのセリフに、カイは何も言わずにただ頷き、部屋を出て行った。

今までにこのようなことがあっただろうか。

いつだってリュティアはカイの訪れを喜んできた。カイに一秒でも長くそばにいてほしいと思ってきた。

しかし今ばかりは…。

カイから真実を聞かされてしまった今ばかりは、リュティアは一人になりたかった。

―真実。

それは彼女にとってあまりにも重いものだった。

癒しの力を使い倒れたリュティアは、日も暮れるころアクスの小屋の一室でめざめた。そこでリュティアを待っ
ていたのは、険しい表情のカイと、彼が語る真実だった。

寝台の上で上半身を起こしたリュティアは、その姿勢のまま、ぼんやりと窓の外に目を向けた。そしていまだに混乱する頭を整理しようと、カイが語ったことをひとつひとつ思い出す…。