聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~はじまりの詩~

フレイアは崩れるように膝をつきながら振り下ろした腕を小さな背中にまわして、パールを力いっぱい、抱きしめた。

「パール、パール、パール、私のパール」

「…姉…様?」

「よかった…よかった…生きて、生きていてくれた…!」

フレイアは泣いていた。

その頬をとめどなく涙があふれて伝った。そのあたたかな滴がパールの頬を濡らし、パールは声を失った。

「あなたがどんな姿をしていようが構わない。あなたは私のパールよ、大好きな大好きな、私のパールよ」

姉様、と呟いた声は声にならなかった。パールは愛らしい顔を歪めると大声をあげて泣き出した。

ジョルデもザイドも、アクスもカイも、もちろんリュティアも、目を丸くして唖然とするしかなかった。

この急展開に、頭がついていかないのだ。

パール王女は死んでいなかった。

番人が、パール王女の正体だった。

確かに、自作自演だというならパール王女の失踪も、さらった理由も(そもそもさらっていないのだから)頷ける。

ひとしきり泣いたあと、パールはぽつりぽつりと語り始めた。事の真相を。