部活の定休日に、俺はいつも美術室へ向かう。

彼女と二人きりになれるのだ。

彼女はいつも絵を描いていた。

彼女の絵は彼女の記憶だった。

教室の風景、廊下の様子、登下校に見える景色。

実に正確で細かい絵だった。

俺はいつも彼女が絵を描く姿を斜め後ろから見ていた。